〈参考文献:気象庁監修震度を知る,1996〉
震度と震度階級
震度とは?
人体感覚(体感)や家具,家屋などの周囲の物体,構造物などへの影響を用いて,地震動の強さの程度を表したもの。
震度階級とは?
地震動の強さを表す尺度。日本では,気象庁震度階級という尺度が用いられる。
外国では,改正メルカリ震度階級及びMSK震度階級が代表的である。
気象庁震度階級の変遷
明治17(1884)年に定められた「地震報告心得」が現在の気象庁震度階級の起源である。
そこから現在までの気象庁震度階級の変遷を表@に示す。
表@ 気象庁震度階級の変遷
|
明治17(1884)年〜明治30(1897)年 |
明治31(1898)年〜明治40(1907)年 |
明治41(1908)年〜昭和10(1935)年 |
|
|
|
|
|
|
|
|
0 . 微震(感覚ナシ) |
0 無感覚地震 |
|
|
微 :僅ニ地震アルヲ覚ヘシ者 |
1 . 微震 |
一 微震 |
|
|
弱 :震動ヲ覚ユルモ戸外ニ避ルニ足ラ |
2 . 弱震(震度弱キ方) |
ニ 弱震(震度弱キ方) |
|
|
3 . 弱震 |
三 弱震 |
||
|
強 :往々物品ノ倒伏液体ノ溢出等アリ |
4 . 強震(震度弱キ方) |
四 強震(震度弱キ方) |
|
|
烈 :屋宇ヲ毀損若クハ倒伏シ或ハ地面 |
5 . 強震 |
五 強震 |
|
|
6 . 烈震 |
六 烈震 |
||
|
昭和11(1936)年〜昭和23(1948)年 |
昭和24(1949)年〜平成8(1996)年 |
参考事項(昭和53年) |
平成8(1996)年〜 |
||
|
|
階級 |
説 明 |
吊り下げ物のわずかにゆれるのが目 |
震度階級 |
計 測 震 度 |
|
無感 |
0 |
無感。人体に感じないで地震計に記 |
0 |
0.5未満 |
|
|
T 微震;静止してゐる人や特に地震 |
T |
微震。静止している人や、特に地震 |
静かにしている場合にゆれをわずか |
1 |
0.5以上1.5未満 |
|
U 軽震;一般の人に感ずる程度のも |
U |
軽震。大勢の人に感ずる程度のもの |
吊り下げ物の動くのがわかり、立っ |
2 |
1.5以上2.5未満 |
|
V 弱震;家屋が動き戸障子が鳴動し |
V |
弱震。家屋が揺れ、戸障子がガタガ |
ちょっと驚くほどに感じ、眠ってい |
3 |
2.5以上3.5未満 |
|
IV 中震;家屋の動揺が烈しく座りの |
W |
中震。家屋の動揺が激しく、座りの |
眠っている人は飛び起き、恐怖感を |
4 |
3.5以上4.5未満 |
|
X 強震;壁に割目が入り墓石、石燈 |
X |
強震。壁に割れ目が入り、墓石・石 |
立っていることはかなりむずかしい。 |
5弱 |
4.5以上5.0未満 |
|
5強 |
5.0以上5.5未満 |
||||
|
Y 烈震;家屋が倒壊し山崩れが起り |
Y |
烈震。家屋の倒壊は30パーセント以 |
歩行はむずかしく、はわないと動け |
6弱 |
5.5以上6.0未満 |
|
6強 |
6.0以上6.5未満 |
||||
|
Z |
激震。家屋の倒壊が30パーセント以 |
7 |
6.5以上 |
||
外国の震度階級
現在,外国で広く使用されている震度階級の起源は,イタリアのデ・ロッシ(De Rossi)とスイスのファレル(Forel)が1883年に共同して作成したロッシ・フォレル震度階級(表A)に始まる。が,この震度階級には,非常に幅広い現象が最上位階級の10に含まれていること,説明文が欧州の生活様式に合わせた内容であったため他の地域には適用しにくいこと,という2つの大きな問題点があった。
このような問題点を解消するため,メルカリ(Mercalli)によって当初10階級,後にカンカーニ(Cancani)の提案に従って12階級となる震度階級が作成された(1902年)。これはジーベルク(Sieberg)による修正を経て,1931年にウッド(Wood)とイノマン(Neumann)による修正版で西欧とアメリカ合衆国などで広く使用されている改正メルカリ震度階級(表B)が作成された。
これに対して,東欧を中心に使用されている震度階級が,1964年にメドベデフ(Medvedev),スポンホイエル(Sponheuer),カルニク(Karnik)によって作られたMSK震度階級(表C)である。
表A ロッシ・フォレル震度階級(1883)
T:微少な揺れ
一つの地震計または同型の複数の地震計に記録されるが、それと異なった種類の地震計
では記録されない。
U:極々弱い揺れ
異なった種類の地震計に観測される。静かにしている人の一部が感ずる。
V:極弱い揺れ
静かにしているかなりの人が感ずる。振動の方向や継続時間が測れる。
W:弱い揺れ
動いている人にも感ずる。動きやすいもの、戸、窓が揺れるのがわかり、天井がきしむ。
X:中程度の揺れ
だれにでも感ずる。家具、寝台などが揺れるのがわかり、鳴る鐘もある。
Y:かなり強い揺れ
寝ている人が起きる。鐘が鳴る。シャンデリアが揺れる。時計が止まる。木や灌木の
動揺が見える。驚いて家を飛び出す人もいる。
Z:強い揺れ
動きやすいものは倒れ、しっくいは落ち、教会の鐘が鳴る。人は恐怖を感じるが、
建物には被害はない。
[:極強い揺れ
煙突が倒れる。建物の壁に亀裂。
\:極々強い揺れ
半壊または全壊する建物がある。
]:非常に烈しい揺れ
大災害、廃墟、大地が波打つ、地面の亀裂、山地で岩が崩れる。
|
表B 改正メルカリ震度階級(1956)(気象庁地震観測指針「参考遍」による。ただし一部表を改めている。) |
|
|
階級 |
説 明 |
|
T |
地震計だけに感ずる程度の地震、または特に感じやすい状態にあるごく少数の人に感ずる程 |
|
U |
静止している人、ビルの上層その他地震動を感じやすい場所にいる人に感ずる程度の地震。 |
|
V |
屋内で感ずる。つり下げた物体は揺れ、軽トラックの通過のような振動で、振動時間を計れる |
|
W |
つり下げた物は揺れる。重いトラックの通過のような振動、重い砲丸が壁を打ったときの揺れ |
|
X |
戸外で感じ、振動の方向がわかる。寝ている人が起きる。液体が動き、あるものはこぼれる。 |
|
Y |
すべての人に感ずる。多くの人は驚いて戸外に飛び出す。人々の歩みは不安定となる。窓、 |
|
Z |
立っていることが困難になる。走っている自動車の運転手が気付きつり下げ物はふるえる。 |
|
[ |
自動車の運転に影響する。石造Cに被害、部分的にくずれる。石造Bに被害を生じることがあ |
|
\ |
恐慌状態、石造Dは壊れる。石造Cは大損害、時として全壊する。石造Bは重大な損害(一般 |
|
] |
ほとんどの石造と枠構造は基礎とともに崩れる。よくできた木造構造物や橋も壊れることがある。ダムや堤などに重大な被害、大規模な地滑りがある。運河、河川、湖水などの堤の上に水が打ち上げられる。砂や泥が海浜や平坦地で水平に移動する。鉄道のレールが軽く曲がる。 |
|
]T |
鉄道のレールが大きく曲がる。地下埋設管は完全に破損。 |
|
]U |
すべてのものが被害。大岩が移動する。地形が変化する。あるものは空中に投げ出される。 |
|
石造建築A、B、C、Dの説明 |
|
|
A−施工、設計、モルタルともに良好。特に水平力に対して補強されている。鉄とコンクリートを用いて |
|
|
B−施工、モルタルともに良好。補強されてはいるが水平力に抵抗するように十分に設計されていな |
|
|
C−施工、モルタルともに普通。コーナーの結合などにはなはだしい弱点はないが、補強も、水平力 |
|
|
D−弱い材料、たとえばアドベ、貧弱なモルタルを用い、出来ばえ粗雑。水平力に弱い。 |
|
|
表C MSK震度階級(1964)(気象庁地震観測指針「参考編」による。ただし一部表現を改めている。) |
||
|
階級 |
|
説 明 |
|
T |
無 感 |
a) 地震動の強さは人体感覚の限界以下。地震動は地震計によってのみ検知される。 |
|
U |
ほとんど感じ |
a) 地震動は家の中で静止している人、特に建物の上階にいる人に感ずる。 |
|
V |
弱、部分的に |
a) 自身同は室内で少数の人に感じられ、戸外では条件が好い場合のみ感ずる。震度は軽トラックが通過した時に似ている。注意深い観測者にはつり下げ物がかすかに揺れているのが認められ、上階の人はもっと大きく揺れるのに気がつく。 |
|
W |
大部分の人 |
a) 地震動は室内の多くの人に、戸外の少数の人に感ずる。目をさます人がいる。しかし、だれもこわがらない。振動はちょうど重い荷物を積んだトラックが通るのに似ている。窓や戸、皿などがガタガタ音をたてる。床と壁がきしむ。家具は振動しはじめる。つり下げ物はかすかに揺れる。容器内の液体がかすかに擾乱する。停止している自動車内で振動がわかる。 |
|
X |
目をさます |
a) 地震動は室内のすべての人に、ッ戸外の多くの人に感ずる。眠っている人の多くは目がさめる。少数の人は室外に走り出る。動物は不安がる。建物はゆらゆら揺れる。つり下げ物はかなり揺れる。額縁は壁にぶつかったり、はずれたるする。振子時計が止まることがある。不安定な物体は転倒したり移動したりすることがある。開き戸、窓は急に開いたり閉じたりする。容器いっぱいに入った液体が少しこぼれる。振動の感じは建物の中で重い物が落ちたような感じ。 |
|
Y |
恐 怖 |
a) 室内でも戸外でもほとんどの人に感ずる。建物の中にいる多くの人は恐れて外に飛び出す。少数の人は平衡を失う。家畜は畜舎から飛び出す。少数例として皿やガラス器具が破損し、本が落ちる。重い家具でも動くものがあり、小塔の小さい鐘が鳴る。 |
|
Z |
一部の建物 |
a) たいがいの人は恐れて外に飛び出す。多くの人は立っているのが困難となる。自動車を運転している人にも振動が感じられる。大きな鐘が鳴る。 |
|
[ |
一部の建物 |
a) 恐怖と恐慌。自動車を運転している人がとまどう。ほうぼうで木の枝が折れる。重い家具が動き、一部は転倒する。つり下げランプは一部壊れる。 |
|
\ |
建物一般に |
a) 一般に恐慌状態。家具に相当の被害、動物は混乱して叫び、あちこち走り回る。 |
|
] |
建物一般に |
b) C型の多くの建物が4程度の、少数が5程度の被害。B型の多くの建物は5程度の、A型のほとんどが5程度の被害。ダムや堤防に致命的な被害、橋に重大被害。鉄道のレールは軽度に曲がる。埋設管は破壊するか曲がる。舗装された道路はまたアスファルト道路道路が波打つのが見える。 |
|
]T |
大災害 |
b) よくできている建物、橋、ダム、鉄道にも重大な被害。道路は役に立たなくなる。埋設管は破壊される。 |
|
]U |
景色が変わる |
b) 地上、地下にあるすべての建造物が、大被害を受けるか破壊する。 |
震度階級改正までの経緯
震度計の導入
日本においても従来は観測員が主として体感によって震度を観測していたが,地震動が観測する場所の地盤によって
大きな影響を受けることなどもあり,体感で観測することに対する不信感があった。
そこで気象庁でも,昭和60(1985)年3月,震度の器械観測について検討を開始し,平成3(1991)年から世界に
先駆けて震度の器械観測を開始した。
震度階級の改正
平成6(1994)年には全ての震度観測点に震度計が整備されたが,体感観測が廃止されたわけではなかった。更に,
兵庫県南部地震で新たな問題が指摘された。当時の震度計において計測化の対象となっていたのは震度6までで,震度7
については被害調査によることとしていたので,兵庫県南部地震で震度7の地域があると最初に確認されたのは,地震
発生から3日後であった。震度情報が防災情報であり,即時的把握・発表が必要であるという観点から,震度7を計測化
することが急務となった。
これらの問題に対処し,震度階級の見直しを検討し,平成7(1995)年に気象庁「震度問題検討会」は次の3点を提言した。
壱.各震度階級は,地震動の強さの計測値(計測震度)によって決めることとし,従来震度階級の定義であった説明文は廃止する。
また,これにより震度7も計測化する。
弐.震度5及び震度6を,それぞれ2階級に分割する。
参.震度階級説明文に代わり,「気象庁震度階級関連解説表」を作成する。
この新算出方法によって算出される値を,従来の「震度」と区別するため「計測震度」と称する。
気象庁震度階級関連解説表
|
震度階級 |
人間 |
屋内の状況 |
屋外の状況 |
|
0 |
人は揺れを感じない。 |
|
|
|
1 |
屋内にいる人の一部が、わずかな揺れを感じる。 |
|
|
|
2 |
屋内にいる人の多くが、揺れを感じる。眠っている人の一部が、目を覚ます。 |
電灯などのつり下げ物が、わずかに揺れる。 |
|
|
3 |
屋内にいる人のほとんどが、揺れを感じる。恐怖感を覚える人もいる。 |
棚にある食器類が、音をたてることがある。 |
電線が少し揺れる。 |
|
4 |
かなりの恐怖感があり、一部の人は、身の安全を図ろうとする。眠っている人のほとんどが、目を覚ます。 |
つり下げ物は大きく揺れ、棚にある食器類は音をたてる。座りの悪い置物が、倒れることがある。 |
電線が大きく揺れる。歩いている人も揺れを感じる。自動車を運転していて、揺れに気付く人がいる。 |
|
5弱 |
多くの人が、身の安全を図ろうとする。一部の人は、行動に支障を感じる。 |
つり下げ物は激しく揺れ、棚にある食器類、書棚のが落ちることがある。座りの悪い置物の多くが倒れ、家具が移動することがある。 |
窓ガラスが割れて落ちることがある。電柱が揺れるのがわかる。補強されていないブロック塀が崩れることがある。道路に被害が生じることがある。 |
|
5強 |
非常な恐怖感を感じる。多くの人が、行動に支障を感じる。 |
棚にある食器類、書棚の本が多く落ちる。テレビが台から落ちることがある。タンスなど重い家具が倒れることがある。変形によりドアが開かなくなることがある。一部の戸が外れる。 |
補強されていないブロック塀の多くが崩れる。据付が不十分な自動販売機が倒れることがある。多くの墓石が倒れる。自動車の運転が困難となり、停止する車が多い。 |
|
6弱 |
立っていることが困難になる。 |
固定していない重い家具の多くが移動、転倒する。 |
かなりの建物で、壁のタイル |
|
6強 |
立っていることができず、はわないと動くことができない。 |
固定していない重い家具のほとんどが移動、転倒する。戸が外れて飛ぶことがある。 |
多くの建物で、壁のタイルや |
|
7 |
揺れにほんろうされ、自分の意志で行動できない。 |
ほとんどの家具が大きく移動し、飛ぶものもある。 |
ほとんどの建物で、壁のタイ |
|
震度階級 |
木造建物 |
鉄筋コンクリート建物 |
ライフライン |
地盤・斜面 |
|
|
|
|
|
|
|
5弱 |
耐震性の低い住宅では、壁や柱が破損するものがある。 |
耐震性の低い建物では、壁などに亀裂が生じるものがある。 |
安全装置が作動し、ガスが遮断される家庭がある。まれに水道管の被害が発生し、断水することがある。 |
軟弱な地盤で、亀裂が生じることがある。山地で落石、小さな崩壊が生じることがある。 |
|
5強 |
耐震性の低い住宅では、壁や柱が破損したり、傾くものがある。 |
耐震性の低い建物では、壁、梁(はり)、柱などに大きな亀裂が生じるものがある。耐震性の高い建物でも、壁などに亀裂が生じるものがある。 |
家庭などにガスを供給するための導管、主要な水道管に被害が発生することがある。 |
|
|
6弱 |
耐震性の低い住宅では、倒壊するものがある。耐震性の高い住宅でも、壁や柱が破損するものがある。 |
耐震性の低い建物では、壁や柱が破壊するものがある。耐震性の高い建物でも壁、梁(はり)、柱などに大きな亀裂が生じるものがある。 |
家庭などにガスを供給するための導管、主要な水道管に被害が発生する。 |
地割れや山崩れなどが発生することがある。 |
|
6強 |
耐震性の低い住宅では、倒壊するものが多い。耐震性の高い住宅でも、壁や柱がかなり破損するものがある。 |
耐震性の低い建物では、倒壊するものがある。耐震性の高い建物でも、壁や柱が破壊するものがかなりある。 |
ガスを地域に送るための導管、水道の配水施設に被害が発生することがある。 |
|
|
7 |
耐震性の高い住宅でも、傾いたり、大きく破壊するものがある。 |
耐震性の高い建物でも、傾いたり、大きく破壊するものがある。 |
[広い地域で電気、ガス、水道の供給が停止する。] |
大きな地割れ、地すべりや山崩れが発生し、地形が変わることもある。 |
|
※ライフラインの[ ]内の事項は、電気、ガス、水道の供給状況を参考として記載したものである。 |
||||
計測震度の新算出方法
まず,準備として
I=2・log(a)+logT+(0.7+log k) (*)
としておく。
計測震度は,3成分の加速度波形を用いて以下の手順で算出する。
1
フーリエ変換
各成分の加速度記録をフーリエ変換し,スペクトルを計算する。
2
フィルター処理
1で算出されたスペクトルに,次の3種類のフィルターを掛ける。
(ア)式(*)の右辺第2項に対応するフィルター
(1/f)1/2
(イ)ハイカットフィルター
(1+0.694X2+0.241X4+0.0557X6+0.009664X8+0.00134X10+0.000155X12)‐1/2
X=f/fc (fc=10HZ
)
(ウ)ローカットフィルター
(1‐exp(‐(f/f0)3))1/2 f0:パラメータ
フィルターの総合特性を,図1に示す。
図1 フィルターの総合特性

3
逆フーリエ変換
2で処理したスペクトルを逆フーリエ変換し,フィルター処理された加速度波形を求める。
4
ベクトル合成
1〜3の処理を各成分毎に行い,フィルター処理された各成分の加速度波形をベクトル的に合成する。
5
継続時間を考慮した振幅の決定
4でベクトル合成された波形のV(t)と,ある加速度レベルaについて,
W(t,a)= 1 (V(t)≧aのとき)
0 (V(t)<aのとき)
なる値をとる関数W(t,a)を導入し,
τ(a)=∫W(t,a)dt (積分区間は地震動が継続している時間)
とする。
図2 V(t)とW(t,a)の関係

図3 τ(a)と加速度レベルaの関係

図2からわかるように,τ(a)はV(t)がa以上である時間の合計で,aについての単調減少関数となる。このとき適当なパラメータτ0について,図3に示下ように,τ(a)≧τ0を満たすaの最大値をa0とする。
6
計測震度の算出
フィルター処理によって式(*)の右辺第2項については考慮済みなので,5で求めたa0を用いて,計測震度Iは,
I=2・log(a0)+K
と表せる。
以上の新算出方法のフローチャートを,図4に示す。
図4 計測震度の算出手順

この新算出方法でパラメータとしたのは,f0,τ0,Kの3つであるが,まずf0とτ0は算出される計測震度と体感や建物被害との相関がより高くなるよう決定し,次に水平動2成分の加速度を用いて震度を算出する旧算出方法との連続性を保つため,旧算出方法で算出される値と平均的に一致するようにKを決定した。このように決めたパラメータの値は,
f0=0.5(HZ ), τ0=(sec), K=0.94
である。
新算出方法では,旧算出方法と比較して次の点が改良された。
(@)旧算出方法では水平動しか,考慮していなかったが,新算出方法では上下動も考慮している。このため,上下動が重要な影響を持つような地震動についても的確に震度が計算できる。
(A)旧算出方法は,算出された震度が基本的に体感と一致するように作られていた。新算出方法では,これに加えて高い震度で建物被害との相関が高くなるように作られている。このため,防災情報としてより有効に利用することができる。
(B)旧算出方法では,算出された値は整数部分しか意味を持っていなかったが,新算出方法では,小数点以下の値も意味を持つように作られているので,算出された値を用いて震度階級を分割することができる。